相続で不動産を所有することになった、もしくはこれからその予定という方は、その不動産が登記簿に登録されているか確認してみると良いでしょう。
万が一、不動産が未登記だった場合には、過料が科されてしまったり、所有権を主張できないなどのデメリットを受ける可能性があります。
登記とは何か、登記されない不動産とは何かという基本から、未登記の不動産を相続する方法までを解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら未登記・所在者不明の不動産が生まれる理由とは?
登記されないままの不動産や所有者不明の不動産が日本にはいくつも存在していますが、どうして登記をしないのか、その理由を解説します。
不動産の登記とは?法務局で管理される情報
法務局は、8つの法務局と42の地方法務局が存在し、全国各地の土地・建物が誰の所有物であるか、どのような不動産であるかなどの情報を登録し、管理しています。
基本的に所有者による申告で登記されるため、法務局が未登記の不動産や所有者を探すようなことはしていません。
登記簿は3つに登録情報が分けられ、それぞれの項目が更新されるたびに表示される行数が増えていきます。
最上段は表題部と呼ぶ所在地や地番、面積や用途などが表示され、その下に所有者を表示する甲区、最後に抵当権などの所有権以外の権利が表示される乙区が並びます。
未登記の不動産とは、建物などが建築されてから、何の情報も法務局に登録されていない不動産を意味します。
未登記は法律違反?不動産を登記しない理由とは?
通常、不動産を所有した時点で管轄の法務局で登記をおこないますが、どうして未登記の不動産があるのか、その理由は手続きする義務はあっても所有するだけなら手間でしかないからです。
登記の内容を変更もしくは新規で登録する手続きにはお金がかかるため、所有する不動産が利益を生み出すものでなければ、積極的に行動しようという気にはなれないでしょう。
賃貸や売却する明確な目的がなければ、あえてお金のかかる手続きをしなくても問題が起きないので、登記しないまま放置したと考えられます。
金融機関からの融資に頼らず、自己資金で不動産を購入し、自分で諸々の手続きをおこなった場合には、登記していなくても売買契約に影響を及ぼしません。
また、登記の手続きをしなくても、自治体から固定資産税の通知書は毎年送付され、税金を適切に納めていると、そのうち登記していなかったことも忘れてしまうケースもあります。
こうした不動産の未登記は、新たに自分で購入した場合よりも相続によって不動産を得た場合に起きることが多いです。
相続で取得した不動産をそのまま未登記にしておくデメリット
相続によって取得した不動産をそのまま登記せずにいると、所有するだけなら問題はほとんどないように見えますが、何かあった際に困ったことになります。
未登記の不動産をそのままにしておくと所有権を主張できない
新たに所有することになった不動産をそのまま登記をせずに放置しておくと、もっとも困るのは、自分が所有者であることを第三者に主張できなくなることです。
登記簿には、土地や建物の所在地から用途などの不動産の情報と、その下に続く所有権を有する人物の情報が登録されています。
そのまま登記しないということは、登記簿上でその不動産の所有者が不明となり、所有権を持つのが誰かと争いになった際に、信じてもらう証拠がありません。
2024年から施行される相続登記義務化と罰則
実は厳格な義務がないと思われる不動産の登記ですが、実際には表題部に変更があった場合、1か月以内に申請しなければ10万円以下の過料が科されます。
しかし、登記は所有者からの申告が基本で、積極的な調査がおこなわれてこなかったため未登記のままとなる不動産が増えました。
それも2024年から新たに施行される相続登記の義務化と罰則によって、登記せずに放置することはできなくなります。
これまでは、相続によって不動産を取得した場合の登記手続きには申請期限や罰則は設けられていませんでしたが、2024年からは取得から3年以内の手続きが義務化されます。
また、正当な理由なくこの申請期限以内に手続きをおこなわなかった場合には、10万円以下の過料を科すと定められました。
未登記のままでは不動産を売買できない!
不動産を未登記のままで放置していると、売買をしようとした際に売主・買主の双方にとって大きなデメリットがあります。
不動産という大きな買い物をする際に、すべてを現金一括で購入するという方は稀で、ほとんどは金融機関からの融資に頼ります。
未登記となると、法的にその不動産の所有権が誰のものかを主張できず、抵当権に関しても登録することができません。
そうなると、売主に問題はなくても、買主は金融機関から融資を得られず、売買が成立できない状況に陥ってしまうのです。
相続で取得した不動産が未登記だったら?登記する方法を解説
登記されないままの不動産を相続した場合、どのような方法で登記できるのか、相続手続きにおいて必要なものは何かを解説します。
未登記の不動産を相続できる?登記する方法とは?
未登記の不動産を相続することになっても、手続きできないことはなく、不動産をご自身が取得してから1か月以内に申請すれば、登記は完了です。
登記していないので表題部の登記もされていませんが、その登記の義務は相続人に引き継がれると定められています。
申請に必要な書類には、登記申請書、建物図面・各階平面図、建築確認通知書、工事完了引渡証明書など、建物を建てた際の書類も必要となるので探してみましょう。
もし必要書類が見つからない場合には、代用できる書類があるので、管轄の法務局に提出が求められる書類について確認することをおすすめします。
相続登記の方法とは?遺産を分配する話し合いの流れ
相続登記をするには、誰がどの財産を引き継ぐか、相続人全員が納得して決定することが重要で、不動産を引き継ぐ方が決まっていなければ、まずは全員で協議しなければなりません。
引き継ぐ方が決まったら遺産分割協議書を記入しますが、通常は登記情報を記載する部分が空欄となってしまうため、固定資産評価証明書や名寄帳に記載された情報を転記します。
あとから誤解やトラブルを招かないためにも、未登記の不動産であることは記載しておくと良いでしょう。
遺産分割協議書が作成できたら、相続登記の手続きをおこなうために管轄の法務局へと出向いて、登記に必要な書類を提出します。
個人でも手続きをおこなうことは可能ですが、さまざまな法律の知識や書類を作成する時間を考えると、司法書士や弁護士などの専門家に頼るのが最適です。
相続登記後にすぐ建物を解体する場合でも登記は必要か?
未登記の不動産を相続によって取得する場合、取得したあとに不動産をどうするかによって、対処する方法が変わります。
売却するならば登記は必要ですが、すぐに建物を解体する場合には建物の登記はしなくても問題はありません。
ただし、登記していなくても自治体から固定資産税の通知書が届くので、自治体には建物を解体した旨を伝えないと、翌年以降も通知書が届いてしまうので気を付けましょう。
まとめ
不動産の登記簿には、いつ誰が所有権を有したのか、所有権に関わる情報が国によって管理されているため、決しておろそかにして良いものではありません。
2024年以降は登記手続きの義務化や罰則が強化されているので、申請期間に手続きを終えられるように心がけましょう。
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